可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)と診断された話




2019年10月2日から11日間「可逆性脳血管攣縮症候群」という聞き慣れない病名で入院生活してました。これは、その時の記録です。

発症して、救急車で病院へ

2019年10月2日 午前4:00
勉強をするため、いつもより少し早めに起床。
起き上がったもののメガネが見つからず、物音を立ててるうちに妻を起こしてしまう。

2019年10月2日 午前4:10
デスクに座りしばしボーッとする。iPhoneが頭に浮かんでいるが言葉にはできない(失語の症状)。徐々に吐き気が高まってきて、布団に再度横になる。iPhoneの目覚ましを6時にセットしようとするが、方法がわからない。

2019年10月2日 午前4:30
吐き気MAXになり、トイレで嘔吐。「ちょっと待って」「大丈夫」しか話せなくなる。吐いた後なんとかベットに戻るが、起き上がる事ができない。前日には一滴もアルコールを飲んでないが、急性アルコール中毒で動けなくなるような感覚に近い。

2019年10月2日午前4:40
妻が救急車を呼ぶことを提案し、「はい」と応える。

2019年10月2日 午前5:00
救急隊の方々が到着。意識はあるが、言葉が口から出ない。近所の総合病院に搬送される。ストレッチャー横になりつつも数回嘔吐。

2019年10月2日 午前5:20
病院にて各種検査を行う。意識はそれなりにあり、トイレに行きたいが口から言葉が出ない。寒くて震えが止まらない。目が開かない。

その後、血液検査、MRI、カテーテルを使った脳血管撮影などなど全身を検査される。意識はあったりなかったりで、あまり覚えていない。カテーテルの脳血管撮影は、太ももの付け根から管を挿入するため、ち○毛の剃毛が必要である。オムツで剃毛というなんとも悲しい姿になっていたが、意識が曖昧なのが不幸中の幸いであった。

2019年10月2日 午後16:00
点滴で脳の血管を広げる薬を投与され、徐々に意識が回復し話せるようになる。吐き気はおさまったが、寝たままの時間が長かったので、腰の痛みを感じる。

2019年10月2日 午後18:00
病院食のお粥。食欲は全く無く、起き上がる事ができなかったので、一切口にすることなく終了。

可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)

可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)とは、急性発症する激しい頭痛、しばしば雷鳴頭痛と呼ばれる頭痛で発症し、多発性の可逆性の脳血管攣縮を伴う症候群である。
—大阪市立総合医療センター脳血管内治療科小宮山雅樹

要するに、激しい頭痛で吐き気を伴い脳の血管が攣縮(縮む)する病気。比較的新しい病気で原因は不明で、治療方法も確実なものはない。しかし、病名に「可逆性」とある通り、多くの場合は3ヶ月程度で自然と良くなっていく。症状によっては発症に気づかないこともあるらしい。

僕の場合は、頭痛はそこまでひどくなかったが、吐き気と失語があったために、カテーテルの脳血管撮影まで行われ、RCVSと診断された。そして、ここから11日間に渡るICU並設備の整った脳卒中専門病床(SU)への入院生活が始まるのである。

入院生活

発症後しばらくは完全に安静。24時間体制で点滴され、心電図モニターも装着し、完全に自由を奪われる。ただただ寝るだけの生活で、2日間風呂にも入れない。この頃には失語の症状は無くなっていたが、頭痛は多少あったので、たまにロキソニンを飲むくらいで、ほぼ健康な状態であった。

辛いのは最初の3日くらいで、その後は、日中に検査やリハビリをこなしつつU-NEXTやAmazon Primeでアニメを見たり、Kindleで漫画を読むというぐーたら生活を謳歌した。何かをせねばという焦りはあったが、休息すべきと言い聞かせ、ひたすらダラダラしたのである。

11日間の入院生活を経て、症状の悪化はみられなかったので、無事退院することができた。入院中は、薄味の健康的な病院食以外は飲食禁止であり、図らずとも4kgの減量にも成功してしまった。

退院から社会復帰

週末に退院し、週明けから仕事復帰した。はじめの1週間はリハビリということで10時〜15時の時短勤務。想像以上の疲労感があり、脳の修復には体力を使うということを実感する。頭痛はないが、脳にリミッターがかかっているようなスッキリしない感覚もあった。

2週間目からは、ほぼ通常運転。飲酒は特に制限されていないが、なんとなく怖いのでほとんど飲まなくなった。脳のリミッターも徐々に解除され、入院前と同じ生活を遅れるようになった。自由に活動できる幸せを噛み締めている。

これからの話

人生で初めて入院を経験したが、僕自身は寝ているだけで大したことをしていない。入院中に2歳の娘をワンオペ育児で乗り切ってくれた妻には本当に頭が上がらない。妻以外にも仕事で打ち合わせの延長など、各方面にご迷惑をおかけしてしまった。不可抗力であったとはいえ、このような自体はできるだけ避けていきたい。

可逆性脳血管攣縮症候群は、繰り返されるものではないと言われている。しかし、発症の原因が不明であるため、再発しないとも言い切れない。自分の体と向き合い必要以上の無理をせず、ストレスも溜め込まず、飲みすぎず、今を楽しんで精一杯生きていこうと思う。







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